2012/08/22

大工が帰ってきた



見本寺(ケンポンジ)の修復を終えてスズキたちが戻ってきた。
すかすかだった古材の間を埋めるように白木の架構が挿入されていく。 
土台、柱 のすべてが檜の4寸角である。間柱も4寸。奥にこの春イベントで上棟したC棟ガレージが見える。
まだ手つかずの部分と比べるとその差は歴然としている。これは北側の構面で、土台がちょうど敷き込まれたところ。当初スズキは壊して作り直した方が早いんじゃないかと言っていた。確かにそうかもしれない。が、すべてを新しくするのではここを買った意味がないとその時私は思った。
スケルトンになって始めて私は彼の云っている意味を理解した。それほどこの家の出来が悪るかったのだ。今彼は「壊した方が良かったとは云わないでくれ、私がそれを言えば皆がっかりしてしまうので」と云う。全部壊すのは機械でやるから簡単だが、再生となるとそうは行かない。すべて手仕事でここまでが大変なのだ。
基礎や構造も新しくなり、屋根や外壁、内装や設備も新しくなる。つまり大半が刷新され、面影が残るのはこの妻の土壁(漆喰で仕上げる)くらいである。また元土間の梁架構が現わしとなり残る。そこでこれまでの苦労が報われる筈である。「なに、大丈夫さ」大工が戻って来てやっとそう思えるようになってきた。
 
これは 彼らの仕事、見本寺修復のディテールだ。肘木、欄間の龍の彫り物が無事だったことは幸いであった。
これに比べれば私の建物など可愛いものかもしれないのだが、、、

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