伝統構法というのは土台の代わりに「根がらみ」があってはじめて成り立つ工法だからそれを取ってしまうと柱の根元はきわめて心許ない。縦横に梁(根がらみ)が突き刺さっていた柱はそれらを取り除くと大きな断面欠損が出来てしまう。そこでご覧のように柱部材を補強をすることになる。束石とPCが埋まる程度まで基礎コンを打設することで基礎などの下部は固まるだろうが、柱を固定するための新たな根がらみは必要になるだろう。
外周部など場所によっては申し訳程度の土台もあり苦肉の補修、でも愛らしい。材は新旧共に栗、既存の心許なく見える土台も栗で腐りもせず虫にもやられず90年の風雪に耐えてきた。日本の民家を支えてきたのは栗では無いかと思えるほどである。
この構面は大黒柱の通りで構造強化のため既存柱に新設柱を抱き合わせてある。将来独立柱となるためこれも栗材を用いている。
見上げると既存の柱とはボルトで縫い合わせ、ボルト頭は角形の栓で埋め木してありアクセントになっている。それにしても、あまりに手間がかかる。私は少しはらはらしながら眺めている。
天井裏から古新聞が出てきた。日付を見ると大正12年と15年。登記簿による年代もそのころだからそうなのだろう。この建物は築後約90年といったところか。
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