B&B銀杏工房
工房をG棟へ移転したためにA棟が空いた。そこでそのA棟の有効活用を考えて来た。結論はB&B/つまり朝食付民宿の開設である。私が滞在していた1970年代の英国ではすでにポピュラーな存在で多くの人々が利用していた。当時日本では和風の「民宿」と洋風の「ペンション」が伝統的な「旅館」や「ホテル」以外の選択肢として登場し始めていた。それから40年、時代は変わりその後隆盛を極めたペンションもその影を潜めている。そこでここでは奇を衒わず背伸びせず、出来ることだけやるというコンセプトのもと快適に過ごせる実質的な宿を安価に提供する事を考えた。豪華なロビーはないしシャトーでもないがリーズナブルな価格でゆったりと過ごせる部屋がある。夕食の提供はないが隣は蕎麦処だし少し歩けば古民家を使った創作料理の店や個性的なマルシェもある。
やっと案がまとまった。20㎡強のゲストルームが2つと朝食室からなる小さな宿。宿の主人(私)が集めたアートあるいはポスターを展示するギャラリーもできそうである。
寝室(改築前)
ギャラリー
県の建設事務所建築課との協議が終わった。ポイントは建築確認についてである。建築基準法第6条にそのことが書いてある。一定規模以上の木造建築や2階以上の非木造建築あるいは都市計画区域内の建築物、一定規模以上の特殊建築物については新築、用途変更にあたって確認申請が必要となる。ところがこの建物、これまで一般建築で必要がなかったため確認申請は行われていないし資料もない。その一般建築を特殊建築物(旅館)への用途変更するについて新たに申請が必要かどうかが協議のポイントである。万一確認申請が必要となれば現基準に適合しているかどうか構造計算その他で証明せねばならない。それは現実的には不可能で、仮にそうした結論であればこの計画は断念せねばならない。法第6条では特殊建築物(旅館)100㎡を超えるものとあるので110㎡の我がA棟、B&Bを一部外部化することで100㎡以下の建物と見做せないかというのが協議のポイントである。この図面ではテラスとなっているがそれをピロティとし屋内的利用はしないことで今日の協議は成立し、そのことを資料に追記した。これは保健所への旅館営業の許可申請後、建築課に書類が回った時に効力を発揮するのであろう。